最近書店へ行くとたくさん積まれている朝井リョウさんの『正欲』。
超話題作ですが読もうか悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
そこで今回はこの作品のおすすめポイントや学びをネタバレなしで紹介します!
こんな人におすすめ
- 『正欲』が気になっている人
- 多様性について関心・悩みがある人
- 様々な価値観を知りたい人
ひとこと本紹介
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社会正義を追い求める検事・啓喜、自らの内面に悩む会社員・夏月、理想を追い求める大学生・八重子、彼らと周りの人との関わりを通して私たちが普段耳にする「多様性」を揺るがす衝撃の展開を迎えます。
今あなたが信じている「多様性」は本物ですか?
おすすめポイント① 現代にある多様な価値観を代弁
この小説には登場人物それぞれが違った価値観を抱えています。
- 「不登校問題」などの社会的な思想
- どういったものが性の対象になるのかといった性的な志向
などです。
これらの価値観の中には全く理解できないものもあれば激しく共感するものもあるでしょう。
それを持つ全ての人々の行動の動機や心情について考えることがこの小説が投げかける問いの一つだと思います。
おすすめポイント② 本当の「多様性」とは
- SDGs
- LGBT
- 移民問題
- 環境保護
最近メディアでもよく聞くこれらのワードに共通するのが「多様性」、「ダイバーシティ」です。
「多様性を尊重し、全ての人が生きやすい社会を作ろう」
といった言説はいかにもそれらしく、正しいと感じる人も多いのではないでしょうか(もちろんそう感じない人もいると思います)。
しかし、この小説が切り込むのはまさにこういった思想や言説に対してなのです。
この言葉の通りに本当に全ての価値観を尊重して、誰もが暮らしやすい社会を作ることなどできるのでしょうか。読了後にはこの言説が違った印象に見えてくることでしょう。
おすすめポイント③ 自分を顧みずにはいられない
最後のポイントはとにかく圧倒的な読了感です!私の場合はまず放心状態になり、その後に悩む時間が訪れました。
- これまで知らないうちに他人を傷つけていなかっただろうか
- 本当に全ての価値観を尊重した社会が実現したらどんな社会になるだろう
といった感じです。これらの問いは多様性を尊重しようとする社会にとって避けては通れない問いであり、そういった社会を生きる人々も当然考えなければならない問いです。
この小説を読んだ後は、違った自分でこの社会や他人と向き合うことになるでしょう。最初は自分のあまりの小ささに絶望するかもしれません。
しかし、その気持ちを経ることで真剣に他者と向き合えるようになるのです。
実際、私は読了後に他人の気持ちや価値観をより深く考えるようになりました。
世の中には自分が想像もできないような価値観を持っている人がいると知ることで、他者に対する想像力が増したと思います。
まとめ
本文でも述べたように、「多様性」という言葉を耳にする機会はこれからも増えていくと思います。
この小説はそんな社会に対して一石を投じるだけでなく、さらに良い社会を作っていくための福音となるでしょう。
そういった意味で、この『正欲』は現代人のバイブルとなるのです。
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